物理工学域セミナー(2022/7/19)

下記の要領で物理工学域セミナー(公開)を開催します。

日時:令和4年7月19日(火)17:00 ~ 18:00

場所:工学系学系F棟600号室

講演題目:「ナノ計測の高度化に向けたSEMの像形成原理の解明と関連標準物質の開発」

講演者:熊谷 和博氏

所属:国立研究開発法人産業技術総合研究所社会実装本部企業連携部企業連携推進室 企画主幹

概要: 走査電子顕微鏡法(SEM)はナノ材料をはじめとする幅広い研究分野で必須の観察手法であるのみならず,その像分解能を活かした計測手法としても期待がもたれている.信頼性の高いSEMによる計測を実現するためには,まず対象を明瞭に観察し,その像情報を解釈できること,そして不確かさ評価を含めた計測法の確立が重要である.特にナノ材料などではバルク試料と異なるコントラストがしばしば観察されることから,得られた像を通して何を見ているのか慎重に議論する必要がある.本講演では,低加速電圧SEMによるナノ薄膜観察を例に挙げ,試料内での信号電子の発生から,検出器による信号電子検出までを考慮して,その像形成を議論する.後半では得られた像から如何に定量的な情報を抽出するかについて,計測における不確かさ要因となりうる像シャープネス(像のボケ)評価を通して議論したい.像シャープネス評価法について概説し,産総研における像シャープネス評価用標準物質開発について述べる.さらにこの標準物質を応用したSEM装置特性評価の可能性について紹介する.