末益教授ら、層状化合物にミクロな磁気揺らぎが存在し、ミュオンで 3 つの温度領域に分けられることを発見

層状化合物にミクロな磁気揺らぎが存在
〜ミュオンで 3 つの温度領域を発見〜

本研究成果のストーリー

●Question
常磁性状態(※1)の物質では、普通ミクロな磁石としての性質(スピン)は、原子ごとに無秩序な方向を向いていると考えられています。しかし、層状化合物であるセレン化クロム銀(AgCrSe2 )の先行研究では単純に無秩序な状態ではない可能性が指摘されていました。実際はどうなのでしょうか︖
●Findings
素粒子ミュオンを用いるミュオンスピン緩和(μSR)という測定法を使うと、物質内部の磁場を細かく調べられます。今回、セレン化クロム銀中のクロム原子のスピンが互いに影響しあう磁気揺らぎ(短距離スピン相関)が存在することが確実になりました。またその状態が温度でどう変化するかを調べ、常磁性相が 3 つの温度領域に分けられることを発見しました。
●Meaning
物質は見方を変えると私たちに違う側面をみせてくれることがあります。研究グループは層状化合物で短距離スピン相関に着目して新しい発見をしました。現状では短距離スピン相関を応用したデバイスはありませんが、将来の革新的デバイス開発のきっかけになるかもしれない基礎研究です。


※1.常磁性状態(常磁性相)
磁石などの磁性体は磁性をもつ原子からなります。しかし逆に、磁性をもつ原子からなる物質が磁性
を示さないことがあります。磁性体の温度を上げていくと、原子のミクロな磁石としての性質(スピ
ン)の向きがバラバラになり互いの効果を打ち消し合って、マクロな磁性が失われます。その状態を
常磁性状態または常磁性相といいます。


120文字サマリー

層状化合物であるセレン化クロム銀(AgCrSe2 )の常磁性相が、温度によって 3 つの状態をもつことが、J-PARC のミュオン測定(μSR)により はじめて示されました。この基礎研究が将来の革新的デバイス開発のきっかけになることが期待されます。


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