奥村助教ら、酸化アルミニウム(Al₂O₃)の電気伝導に世界で初めて成功
サファイア(α-Al2O3)は、8インチサイズの大面積結晶が得られ、低価格かつ高品質であり、なおかつバンドギャップが大きい(~9 eV)ために可視光に透明であることから、窓材や青色LED用の基板など、広く使われている。サファイアは、良好な絶縁体として知られ、これまで室温で電気を流した例はありませんでした。
本研究では、分子線エピタキシ法により、高濃度Si添加Al2O3膜を成長し、不活性ガス下1400℃で熱処理することにより、室温で電気伝導させることに成功しました。その抵抗率は166 Ωcmで、導電性の観点では、半導体に分類される水準になります。
導電性サファイア膜の実証により、これまで困難であったサファイア基板上縦型素子の実現可能性が出てきました。また、高温・高出力・高放射線耐性素子や真空紫外線素子といった新たな展開が期待できます。
本研究の内容は、2023年 第84回応用物理学会秋季学術講演会にて、注目講演としてプレスリリースされました。