教員インタビュー:茂木 裕幸 助教 


実験室にて卒業生との一枚、皆さん研究を頑張りました

Q 研究テーマを教えてください

光技術といくつかの先鋭な探針を使いながら、超高速に生じる現象を原子レベルの精細さで観察できる顕微鏡を作り、ナノテクノロジーの発展を目指しています。

Q 研究の内容と、研究の魅力を教えてください

主には、先端のするどい針(プローブ)を使って材料の表面を観察できる「プローブ顕微鏡」という装置と、ごく短い間だけ光を発射できるパルスレーザーを使って研究を進めています。装置を自分達で組み上げて、上記した最先端の顕微鏡装置や観察手法の開発をするのが主な仕事です。最近では、情報処理デバイス等への応用が期待されている極薄いシート状の半導体材料にターゲットを定め、その中での電子や正孔(電子の抜けた穴)の動きを、ナノメートルスケールで観察/操作することに注力しています。針先のごく一部から出てくる弱い信号を捉えるので、簡単にはデータが得られず大変なこともあります。しかし、自分で作った装置の改良を重ね、誰も見たことがない結果が得られたときには、ものすごく感動しますよ!

Q その研究の先にある未来とあなたが抱く夢を教えてください

現在は、極めて微細な領域や早い現象を観察する顕微鏡を作っています。将来的にはさらに発展させて、ナノスケールの物質を観るだけではなくて、操作することも可能にしたいと思っています。原子/分子レベルの材料や構造を手に取るように作り上げ、これまでにない機能が発現する様子をこの目で観る、これらを両立する顕微技術を開発したいと夢想しています。

ナノレベルで超高速な現象を観る時間分解プローブ顕微鏡実験の様子、
パルスレーザーと複数の探針を駆使して極限領域での計測/操作を目指している

Q 応用理工学類/電子・物理工学サブプログラムのアピールポイントは何でしょうか?

入学してから関われる分野の広さが最大の特徴だと思います。物理・化学・生物と幅広い科目が用意されており、それぞれの分野へ精通する先生方に指導していただけます。私も応用理工学類の卒業生ですが、大学入学時には将来取り組みたい分野を絞り切れませんでした。確か、入学当時には化学系に興味を持っていたのですが、学んでいく中で物理の面白さに触れることができ、最終的には物理計測の分野で博士後期課程まで進学しました。また、多くの研究所が集うつくばという環境も、研究者同士のコミュニケーションや大学外の装置利用等がしやすく、研究を進める上で大いに役に立っています。

Q 学生へのメッセージを教えてください

大学生活で重要なことは、その自由さを活かして、じっくりと将来望む分野を見極めるために行動することでもあると思います。そのためには、応用理工学類は打ってつけの場所ではないでしょうか。是非、つくばという地の利を生かして、様々なことへ積極的にチャレンジしましょう!我々も全力でサポートします。

Q 研究以外で熱中していることはありますか?

大学時代には合唱サークルに所属していて、そこで出会った仲間たちと時々集まり、今も歌っています。最近は、もっぱら子育てに熱中しています。


茂木 裕幸 (助教)

走査プローブ顕微鏡技術を応用して、マルチプローブ化や時間分解計測などの発展的なナノスケール計測技術開発を行い、これまでにない応用計測の実現を目標に研究を行ってきた。最近では、単原子/分子厚の二次元半導体材料を対象に、光励起した電子/正孔のナノスケール精度での計測や制御に取り組んでいる。

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